犬を飛行機に乗せることはできる?
旅行や移動で愛犬と一緒に飛行機を利用するとき「犬も飛行機に乗ることができるの?」「どんな準備をすればいいの?」「犬はどこに乗るの?」といった心配事も多いかもしれません。
航空会社の規定を満たせば、国内線・国際線ともに飼い主さんが愛犬と一緒の飛行機で移動したり、犬だけを貨物扱い(荷物として)飛行機で輸送することが可能です。犬を飛行機に乗せる際の準備や手続き、利用する際の注意点を解説します。
犬を飛行機に乗せることができる!利用の際の注意点
航空会社の規定をクリアすれば、犬を飛行機に乗せることができます。しかし、手続きが必要なことや犬の体へのリスクもあります。犬を飛行機に乗せる際の注意点をまとめました。
犬は基本的に貨物扱い(荷物)での輸送となる
飛行機に犬を乗せる場合、基本的に貨物扱い(荷物)での輸送をすることになります。
飼い主さんと搭乗して機内へ持ち込み、客室の座席で一緒に空の旅を過ごすことはできません。ただし、身体障害者補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)は客室での利用が可能です。
貨物室を下見することはできない
犬は機内の客室ではなく貨物室で過ごします。しかし、貨物室には搭乗員はいないため、飛行中に愛犬にトラブルが発生しても着陸するまで対応してもらうことはできません。
飼い主さんは、貨物室がどんな場所なのか気になるかもしれませんが、基本的に貨物室の下見をすることはできないので、不安や疑問があれば利用する航空会社に問い合わせることをおすすめします。
※ホームページで、イメージ画像を公開している航空会社もあります。
航空会社によってルールや料金が異なる
国内線・国際線ともに、各航空会社のルールのもとで犬の輸送が行われますが、予約や手続き、料金などが各社によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
航空会社によっては、インターネットを通じて事前にペットを預けるための予約手続きができるところもあります。当日になって「チェックインカウンターで愛犬を預かってもらえない」ということがないように、航空会社への予約を行う際に利用方法を問い合わせておくことをおすすめします。
日本の主要な航空会社では、JAPAN AIRLINES(日本航空/JAL)、All Nippon Airways(全日本空輸/ANA)、SKYMARK AIRLINES(スカイマーク/SKY)、Solaseed Air(ソラシドエア/SNA)、AIR DO(エアドゥ/ADO)、STARFLYER(スターフライヤー/SFJ)といった航空会社でペットの輸送が可能です。
※各航空会社で規定や路線、利用できる季節や犬種、ケージサイズなどの条件が変更される場合があります。ご利用前には必ずご自身で航空会社にご確認ください。
日本航空(JAL)国内線の場合
犬、猫、小鳥、うさぎ、ハムスターなどの小動物が利用可能
JALの定めた注意事項を必ず確認し、確認書を提出すること
ペットクレート1個、1区画あたり3,000〜6,000円(路線によって料金が異なる)
1人につき、ペットとほかの受託手荷物を含め、合計100kgまで
ペットクレートの持参(ペットクレートの貸し出しあり)
出発時刻の40分前までにペットとおでかけカウンターで受付を行うこと
フレンチ・ブルドッグ、ブルドッグは利用不可
夏季(5月1日から10月31日まで)と冬季輸送の注意事項あり
全日本空輸(ANA)国内線の場合
犬、猫、小鳥、うさぎ、ハムスターなどの小動物が利用可能
ANAの定めた注意事項を必ず確認し、事前予約で同意事項に同意すること、または搭乗日に同意書を提出すること
ペットケージ1個につき6,000円(一部路線は4,000円)
IATA(国際航空運送協会)の規定に適合したケージを持参(ペットケージの貸し出しあり)
熱中症や呼吸困難の恐れから、夏季(5月1日から10月31日まで)の間、ブルドッグ(ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ)、ボクサー、シーズー、テリア(ボストン・テリア、ブル・テリア)、スパニエル(キングチャールズ・スパニエル、チベタン・スパニエル)、ブリュッセル・グリフォン、チャウチャウ、パグ、チン、ペキニーズの短頭犬種の預かりを中止
愛犬と国内線の飛行機に乗るまでの流れ
愛犬の体に合ったケージを用意
犬を飛行機に乗せる際はケージを準備しましょう。
ケージの大きさは、愛犬が立ったまま方向転換したり、足をまっすぐにして立ったり座ったりと自然な状態で横になれる十分な広さが必要です。また、ケージのレンタルができる航空会社もありますが、普段から自宅で使用しているものが愛犬も安心できるでしょう。
ただし、飛行機で使用できるケージの種類は、材質がグラスファイバーまたはプラスチック、金属製で、扉(フタ)がありロックが掛かるものが必要です。ソフトキャリーやキャリーバッグのようなやわらかい素材のものはNGとなります。
当日スムーズに愛犬を飛行機に乗せることができるように、ケージの種類に不安があればレンタルを利用するなど、航空会社に事前に問い合わせるとよいでしょう。
事前に予約を行うとスムーズ
利用する航空会社に事前にペットを飛行機に乗せるための予約を行います。航空会社の確認事項でわからないことがあった場合は問い合わせるようにしましょう。
ペットの扱いに関する同意書にサイン
犬を飛行機に乗せる場合、航空会社が用意する同意書へのサインが必要です。同意書には一般的に「運送時にペットが死傷した場合、航空会社に一切の責任を問わない」といった内容もあります。愛犬が死亡したりケガをするといったリスクもあるということを飼い主としてしっかり把握しておかなければなりません。
チェックインカウンターで愛犬を預ける
搭乗当日、チェックインのカウンターで手荷物と一緒に愛犬を預けます。預けられた犬は搭乗するまでの間、エアコンの効いた部屋やチェックインカウンターで待機し、その後は車両などで貨物室に運ばれます。
貨物室は冷暖房あり、季節によって事前の準備を
貨物室への乗り降りをする際は外気にさらされるため、季節によっては急激な温度差が生じることがあります。
また、ペットが飛行機の中で過ごす貨物室は、客室と同じように空調管理が整えられていますが、客室よりも外気の影響を受けやすく、温度を一定に保つことができない場合もあるようです。
季節によっては温度が激しく変化することも考えられるため、暑さが気になる場合は保冷剤、寒さが気になる場合は毛布などの準備も検討しましょう。
犬だけを貨物として航空輸送する場合
犬を飛行機で輸送する方法は、飼い主さんと一緒にチェックインをし、手荷物扱いとして飛行機に乗る方法と、犬だけが貨物扱いで飛行機に乗る方法があります。(※生後8週齢以内の子犬は利用することができません。)
貨物扱いで犬を航空輸送する場合は、空港内にある各空港会社別の貨物専用カウンターにて、出発時の受付と到着時の受け渡しが行われます。利用の際は事前に予約を行い、当日は申告書の提出や支払いなどが必要です。空港の貨物エリアの場所も確認しておきましょう。
また、輸送の際のルールも手荷物扱いの場合と同様に、航空会社毎に異なります。ケージの貸し出しがなかったり、ケージの形状が指定されている場合もあるため、詳細は各航空会社に問い合わせを行う必要があります。
※海外に空輸を行う場合は、検疫手続きが必要となるため、航空会社のほか、渡航先の国や農林水産省の動物検疫所に問い合わせましょう。提出しなくてはいけない書類のため、事前にかかりつけの動物病院で証明書等を発行してもらうことも必要になります。
飛行機に乗せてはいけない犬
犬に持病や治療中の病気がある場合、飛行機に乗せることで病気を悪化させるなどのリスクがあります。フライトによるストレスで体調を崩す可能性もありますし、もしフライト中に容体が悪化しても対応することはできません。
子犬と老犬
生後4カ月までの子犬や7歳以上のシニア犬を飛行機に乗せる場合には、一度かかりつけの獣医師に相談した上で判断しましょう。健康であったとしても、フライトで体にかかるストレスや負担は大きくなります。
環境に対応できない犬
音や環境の変化に敏感な犬やケージに長時間入っていることが難しい犬は、無理に飛行機に乗せないという選択肢も検討しましょう。
予防接種を受けていない犬
犬を飛行機に乗せるためには予防接種を受けていることが前提です。また、特に海外渡航の場合は、狂犬病予防注射やマイクロチップの挿入など、渡航先の国によって必要なワクチンや手続きが異なります。これらをすべてクリアしておかないと、検疫のために1カ月以上空港で留置されたり、帰国できなくなる場合もあるため、かかりつけの動物病院での証明書発行など、事前に必要な準備をしておくことが大切です。
短頭種
航空会社の中には、ブルドッグなどの短頭種を受け入れていない航空会社もあります。これは短頭種が暑さに弱く、熱中症や呼吸困難を起こしやすいことが理由とされています。各航空会社によって、時期や該当犬種が異なるため、事前の確認が必要です。
愛犬と一緒に客室に乗れる??
ここまで、犬は手荷物扱いあるいは貨物扱いで飛行機を利用できることを紹介してきました。しかし、新しい取り組みを行っている航空会社もあります。
2022年3月に航空会社のスターフライヤーから、国内定期便において、ペットと一緒に機内で同伴できるサービスを開始しております。
機内に持ち込みができる動物は、指定サイズのペットケージに入る小型の犬や猫と限定はされますが、「ペットと一緒に飛行機に乗ることができる」という航空業界の珍しい取り組みであるため、今後のサービスの展開が注目されています。
最後に
犬が飛行機を利用する場合は、フライトの間飼い主と離れ、空港内の騒音やエンジンの大きな音がしたり、飛行中は温度や気圧の変化、ときには大きな機内の揺れがあったりと、犬に負担がかかりやすいことから「ストレスがかかる」「かわいそう」といわれることもあります。
また、体調不良や死亡事故などが起こるリスクもゼロではありません。これらのリスクをしっかり理解して、愛犬の体調などを考慮したうえで、飼い主さんが飛行機を利用するか控えるかを決めることが大切です。
愛犬と飛行機での移動が必要な場合は、事前に航空会社に問い合わせるなどしっかり準備を整え、愛犬をできるだけ不安にさせないようにしてあげましょう。
また、愛犬の健康状態をできるだけ万全に整えましょう。健康診断を受けておくとさらに安心です。